呪力のあることばをお発しになる
意味
(1)おっしゃる
ポイント
呪力のあることばを口にするという動詞「のる(告る・宣る)」に「給ふ」がついて、「のりたまふ」となったものが、やがて「のたまふ」になったと考えられています。
「呪力のあることば」は、「神的な存在」や「高貴な存在」が発するわけですから、「のたまふ」は「尊敬語」になります。
訳は「おっしゃる」にしておけば大丈夫です。
なんか、「のたまはす」っていうのもなかったっけ?
あります。
それは、「のたまふ」に、助動詞「す」がついたものです。
尊敬語「のたまふ」+尊敬の助動詞「す」になりますので、「最高敬語(二重尊敬)」の扱いです。
したがって、「のたまはす」のほうは、「天皇・上皇・皇后」といった「最高位」の存在に使用します。
例文
こは、なでふことをのたまふぞ。(竹取物語)
(訳)これは、なんということをおっしゃるのか。
「娘を我にたべ」と、伏し拝み、手をすりのたまへど、(竹取物語)
(訳)「娘【かぐや姫】を私にください」と、伏し拝み、手をすり合わせておっしゃるが、
御前に聞こし召して、いみじうよくとぞ思ひつらむとぞ、のたまはする。(枕草子)
(訳)中宮様がお聞きになって、たいそうよいと思っているのであろうと、おっしゃる。
「のたまはする」は、「のたまはす」の連体形です。
尊敬語「のたまふ」+尊敬の助動詞「す」であり、最高敬語(二重尊敬)です。