スカスカでいい加減・・・
意味
(1)おろそかだ・いい加減だ・なおざりだ・不十分だ
「言うもおろかなり」のかたちで・・・
(2)言い尽くせない・言葉では不十分だ
ポイント
「おろ」は、「粗(あら)」と同根だと言われ、物事が「密」の状態ではなく、スカスカの状態を表しています。
本来であればきっちり満たされているべきものが、まばらになっているイメージであり、「おろそかだ」「いい加減だ」と訳します。
「疎かなり」と書いて「おろかなり」と読みますが、これは「おろそかなり」と読むこともあるので注意してください。「疎かなり(おろかなり)」と「疎かなり(おろそかなり)」は同じ意味だと考えて大丈夫です。
ああ~。
お店で注文したおせち料理がスカスカだったら、「うわあ、この店、いい加減だなあ。仕事をおろそかにしているなあ」って思うもんな。
おせちのたとえは面白いですね。
「まめなり」という形容動詞がありまして、こちらは「まじめだ・誠実だ」という意味になります。
そっちは、黒豆がぎっしり詰まっているおせちの重箱をイメージすればいいんだな。
いかにも、おせち職人の真面目な仕事ぶりだ。
反対に、高額で購入したおせちがスカスカだったら、怒りで箸を折ろうかなと思いますよね。
スカスカのいい加減なおせち、箸、折ろうかなり・・・おろかなり・・・。
・・・・・・
・・・「おろかなり」は、文脈上、打消表現や反語表現を伴って、「いい加減ではない」という文意になることが多いですね。
特に「おろかならず」という言い方だと、「並大抵ではない」という誉め言葉に使いやすい表現になります。
また、「言ふもおろかなり」というかたちは、「言葉で言っても不十分である(言葉にできないほどすばらしい)」ということで、やはり対象をほめているときに使いやすいです。
(ギャグがすべったのをなかったことにしたぞ・・・)
例文
わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや。(徒然草)
(訳)わずかに二本の矢、師の前で一本をおろそかに(いい加減に)しようと思うだろうか、いや、思わない。
六月になりぬれば、音もせずなりぬる、すべて言ふもおろかなり。(枕草子)
(訳)(ホトトギスは)六月になると、鳴き声もしなくなる、すべて言葉では言い尽くせない(ほどすばらしい)。
長い間待っていて、やっと鳴きだしたホトトギスが、六月になるとパタッと鳴くのをやめてしまいます。その潔さも含めて、ホトトギスをべた褒めしているところです。