よし 形容詞(ク活用) / よろし 形容詞(シク活用)

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意味

よし【良し・好し・善し】

(1)優れている・立派だ・上等だ

(2)美しい・優美だ

(3)高貴だ・身分が高い・教養がある

(4)裕福だ・盛んだ

(5)上手だ・巧みだ

よろし【宜し】

(1)好ましい・まあよい・悪くない

(2)ふさわしい・適当だ

(3)平凡だ・普通だ・たいしたことはない

ポイント

「よし」「第一級」のほめことばであるのに対して、「よろし」「まあまあの水準には達している」という程度のほめことばです。

大学の評定でいえば、「よし」「優」で、「よろし」「可」という感じです。

外国系の大学でいうと、「よし」「AA」で、「よろし」「B」ってとこだな。

だいたいそんな感じです。

「よし」「絶対評価による高級認定」で、「よろし」「相対評価による平均よりも上という認定」ということもできますね。

「よろし」のほうは、端的にいうと「及第点」という意味合いなので、「平凡」という訳になることもあります。

例文

さかりにならば、かたちもかぎりなくよく、髪もいみじく長くなりなむ。(更級日記)

(訳)年ごろになれば、容貌もこの上なく美しく、きっと髪もたいそう長くなるだろう。

よき人は、あやしきことを語らず。(徒然草)

(訳)身分が高く教養がある人は、わけがわからないことを語らない。

「よき人」という場合、たいていは「高貴な人」を意味しています。

文脈上、「身分が高く教養がある人」と訳すことが多いですね。

湯浴みなどせむとて、あたりのよろしき所におりて行く。(土佐日記)

(訳)水浴びでもしようといって、その辺りの(海の)適当な【ふさわしい】所に下りて行く。

春ごとに咲くとて、桜をよろしう思ふ人やはある。(枕草子)

(訳)春のたびに咲くといって、桜を平凡だ【たいしたことはない】と思う人がいるか、いや、いない。