あぢきなし 形容詞(ク活用)

意味

① 道理にあわない・まともでない

② 無意味だ・かいがない

② おもしろくない・つまらない

ポイント

もとは「あづきなし」でした。

「つきなし」という形容詞がありまして、「ふさわしくない」「似合わない」と訳すのですが、「あづきなし」は、なおいっそう、大切な道理からずれてしまっていることを示しています。

漢文の「無道」「無状」などを「アヅキナシ」と訓じるので、「アヅキ」の部分は「道理」とか「正常の状態」などを意味していると考えられます。

「あづきなし」は、のちに音変化して「あぢきなし」となっていきました。

「道理」から「外れている」ということなんだな。

現代語の感覚で、「味気なし」と書くのかと思っていた。

その字を使うこともあります。

ただ、もともとの意味はやはり「まともな道から外れている」ということです。

文脈にもよりますが、たとえば芸能などの話題において、「まともな道」というのは、「おもしろいこと」になりますよね。そこで「あぢきなし」といった場合、「おもしろい道から外れている」ということになりますから、「つまらない」と訳すことができます。

そういう経緯で、「つまらない」という使用法が増えていったこともあり、「味気なし」という当て字がついていったと考えられています。

例文

やうやう、天の下にも、あぢきなう、人のもて悩みぐさになりて、(源氏物語)

(訳)次第に、世間でも、まともでなく(思われ)、人の悩みの種になって、

あじきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなれば、人の見るべきにもあらず。(徒然草)

(訳)つまらない慰み事であって、すぐに破り捨てるはずのものなので、人が見るはずのものではない。