ののしる 動詞(ラ行四段活用)

どんちゃん!

意味

(1)大声で騒ぐ

(2)評判になる

(3)大騒ぎで~する・大声を立てて~する *補助動詞の使用法

ポイント

現代語だと「悪口を言う」という意味で使用しますが、古語にその意味はありません。

「のの」「大きな声を出す」ということです。「しる」はもともと「思うままにする」という意味合いがあるとされています。

「大きな声を好き勝手に出している」という状態かな。

まさに「大騒ぎする」って感じだね。

類義語に「ののめく」という動詞もありまして、こちらも「大声で騒ぐ」と訳します。

「めく」は「~らしくなる」「~のように見える」という意味になる接尾語で、擬態語や擬音語につくことも多いです。その場合、「~の状態になる」「~と音を立てる」といった意味になります。

「のの」+「めく」は、「大声を出す状態になる」ということでしょうね。

「ののしる」「大声を出すことを好き勝手にあやつる」という感じで、「ののめく」「大声を出す状態になる」という感じなんだな。

そうですね。

結果的にどちらも「大声で騒ぐ」と訳すことになります。

相手を罵倒するときは、大きな声を出すことが多かったから、「ののしる」に「悪口を言う」という意味が足されていって、現代では逆に、その意味で定着しちゃったのかな。

おそらくそんなところでしょうね。

しかし、「ののしる」について古文の試験で問われたら、「悪口を言う」とは訳さずに、「大声で騒ぐ」「評判になる」の2つで考えましょう。

本人が騒いでいるのであれば「① 大声で騒ぐ」の意味で、ある人物に対して世間のほうが騒いでいるのであれば「② 評判になる」の意味になります。

例文

物食ひ酒飲み、ののしり合へるに、(枕草子)

(訳)食べ物を食べ酒を飲み、大声で騒ぎ合っているが、

この世にののしり給ふ光源氏、かかるついでに見奉り給はむや。(源氏物語)

(訳)世間で評判になっていらっしゃる光源氏に、こういう機会にお会い申し上げなさるか。

皆同じく笑ひののしる、いとらうがはし。(徒然草)

(訳)皆同じように大騒ぎして笑うのが、たいとう騒がしい。