しな【品・級・科・階】 名詞

ランク

意味

(1)身分・地位

(2)段・階段

(3)品位・品格

(4)種類・差異・たぐい

ポイント

高低に分かれているものの「ランク」や「階層」を意味しているのが「しな」であり、古くは地名などに使われました。

たとえば、「しなの」「さらしな」「たてしな」「たかしな」などの「しな」は、「他と区別された高いエリア」を意味していると言われます。

高低になっている事物の「区別された場所」を意味するんだね。

必ずしも「高低」とは限らないのですが、「身分」「階級」「品位」という意味で使われることが多いので、やはり「高い・低い」の概念を背景に含み持っている語といえますね。

しな高し」と言えば、「上級・上流・高級・高い身分」といったことを意味しています。

単純に「しなあり」などと言う場合、「区別がある」とか「差異がある」ということになるのですが、「上品だ」というほめことばで使用されている可能性もあります。

派生語として、「品品」という名詞は「さまざまな身分や階層」という意味で、「品品し」という形容詞は「上品だ・品がいい」ということです。

現代語でも俳優さんのふるまいとかで「しなを作る」って言うよね。

「上品らしいふるまいをする」ということですね。現代語では「品」「科」どちらかの漢字を用います。

根本的には「品のよいうごきをする」ということなんですが、慣用的に女性に対して使うことが多く、その場合「(男性から人気が出そうな)なまめかしい態度を取る」という意味で用いているケースがあります。

例文

中のしなのけしうはあらぬ、選り出でつべきころほひなり。(源氏物語)

(訳)中流の身分【階級】の悪くはない女を、選び出すことができる時勢である。

御階の中のしなのほどに居給ひぬ。(源氏物語)

(訳)(夕霧は)階段の中ののあたりにお座りになった。

をかしき事を言ひても、いたく興ぜぬと、興なき事を言ひても、よく笑ふにぞ、しなのほど計られぬべき。(徒然草)

(訳)おもしろいことを言っても、たいしておもしろがらないことと、おもしろくないことを言っても、よく笑うことで、(その人の)品位【品格】の程度はおしはかられてしまうはずだ。