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万策尽きた・・・
意味
(1)どうしようもない・なすすべがない
(2)つらい・せつない
ポイント
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「すべなし」という形容詞の「すべ」には、漢語の「術」をあてていました。
そのまま音読みすると「ずち」「ずつ」「じゅつ」となるので、「ずちなし」「ずつなし」「じゅつなし」という言い方が発生したようです。
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人物名なんかも、たとえば「定家(さだいえ)」なのに、「定家(ていか)」って言ったりするよね。
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当時は、男たちにとっては「漢文」が素養の中心でしたから、「音読み」のほうが言いやすかったのかもしれませんね。
あるいは、「俺は男だから……音読みを使うぜ!」ってかっこつけていたのかもしれませんね。
この「ずちなし」も、男性の会話文でしか発見できません。
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ああ~。
なんか、「男社会だけの読み方だぜ……」みたいな意識があったのかもしれないな。
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「ずちなし」とひらがなで書かれると、なんだかわからなくなってしまうのですが、「ずち」の漢字は「術」だということを思い出せれば、意味はわかると思います。
基本的には「なすすべがない」ということですが、そのどうしようもない事態に対する、「つらい」「せつない」というマイナスの心情を意味していることもあります。
例文
「妹のあり所申せ、申せ」と責めらるるに、ずちなし。(枕草子)
(訳)「妹【清少納言】の居場所を申し上げよ、申し上げよ」と(斉信に)責められるので、(則光は)どうにもしようがない。
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則光はこのあとワカメをほうばりました。
あまり明かうなりしかば、「葛城の神、いまぞずちなき」とて、逃げおはしにしを、(枕草子)
(訳)ひどく明るくなったので、「葛城の神(である私は)、もうなすすべがない」といって、逃げていらっしゃったので、
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「葛城の神」は、「醜い容貌を恥じて、暗い間しか働かない神様」です。
「明るくなったから帰りたい自分」を、「葛城の神」にたとえているのですね。