用言(動詞・形容詞・形容動詞) ― 単独で述語になることができる ―

「用言」は、古文を読解するうえで最も重要になるものです。

まずは定義します。

用言の定義

◆自立語である(文節の先頭になる)
◆活用する
◆単独で述語になることができる
◆「動詞」「形容詞」「形容動詞」がある

さて、用言のうち、

① 言い切りの形の語尾が「u段」になるものを「動詞」

② 言い切りの形の語尾が「し」になるものを「形容詞」

③ 言い切りの形の語尾が「なり」「たり」になるものを「形容動詞」

と言います。

①の動詞については、「あり」「をり」「はべり」「いまそがり」の4語だけは、言い切りの形が「ーり」になります。

思ふ
言ふ
行く
渡る
書く

なんていうのが「動詞」だな。

なし
かなし
かたし
うつくし
おもしろし

なんていうのが「形容詞」だな。

豊かなり
静かなり
清げなり
あはれなり
朗々たり
厳然たり

などが「形容動詞」ですね。

「形容動詞」は圧倒的に「ーなり」が多いです。

「ーたり」は、漢語に「たり」をつけたものなので、仮名文学にはほとんど出てきません。

「形容動詞」は、現代語だと「豊かだ」「静かだ」とかで一単語の扱いだよね。

そうですね。

「豊か」「静か」を名詞扱いにして、助詞の「だ」がつくと考える説もあるのですが、学校の文法だと、「豊かだ」「静かだ」で一語の「形容動詞」として扱います。

これが、古語では「豊かなり」「静かなり」です。

「豊かにてあり」「静かにてはべり」といった表現もよく出てくるのですが、このうちの「て」が残り、「に」のほうが落ちてしまった結果、それが「だ」になり、「豊かだ」「静かだ」という表現に落ち着いたという説がありますね。

なんか、意味上はなくてもよかった助詞のほうが生存しているなんて、おもしろいね。

動詞・形容詞・形容動詞については、「活用の種類」を学んでいくと、自ずと理解が深まっていきますので、そちらに進みましょう。

活用の種類