近寄れない、遠ざけたい
意味
(1)並々でない・はなはだしい・たいそう・たいへん
(2)すばらしい・立派だ・とてもよい
(3)ひどい・とても悪い
ポイント
「忌み」「忌む」が形容詞化した語です。
神聖なものや、忌避すべきものに対する、「並々でない」という意を表します。
よい意味でも悪い意味でも使用します。
神にも悪魔にもうかつに近寄れないもんな。
「程度」が並外れているということで「はなはだしい」
良い方向に並外れているということで「すばらしい」
悪い方向に並外れているということで「ひどい」などと訳します。
連用形で、「いみじく静かに」「いみじううつくし」というように、他の形容詞や形容動詞に係っていく使い方の場合は、「たいそう」と訳すことが多くなります。
「いみじう」って活用表に存在しないぞ。
「いみじく」の「く」が「う」になったものです。
ウ音便ですね。
「いみじう」はかなり出てくるので、気を付けましょう。
例文
昔、袴垂とて、いみじき盗人の大将軍ありけり。(宇治拾遺物語)
(訳)昔、袴垂といって、並々でない盗人の首領がいた。
月を見ては、いみじく泣き給ふ。(竹取物語)
(訳)【姫は】月を見ては、たいそうお泣きになる。
風の音もいみじう心ぼそし。(更級日記)
(訳)風の音もたいそう心細い。
説法いみじくして、みな人涙を流しけり。(徒然草)
(訳)説法がすばらしくて、人はみな涙を流した。
あないみじ。犬を蔵人二人して打ちたまふ。(枕草子)
(訳)ああひどい。犬を蔵人が二人してお打ちになる。
「あな」は「ああ」と訳せばいいんですけど、このように形容詞とセットになることが多いですね。
セリフの中だったりすると、語尾の「し(じ)」が取れて、「あなかまし(さわがしい)」が「あなかま」になったり、「あな憂し(つらい)」が「あなう」になったりします。
形容詞の語尾って、感情がこもると省略されることがあるんですよ。
ああ~。
今でも、「暑い」を「あつ!」って言ったり、「うるさい」を「うるさ!」って言ったりするもんね。