あやなし【文無し】 形容詞(ク活用)

意味

① わけがわからない・筋が通らない

② 無意味だ・つまらない・むなしい

ポイント

「あや」は「波紋」や「木目」や「衣服」などの、道筋のようになっている「模様」のことです。そのことから、「筋道」とか「理屈」などを意味します。

それが「無し」であるので、「筋が通らない」「わけがわからない」などと訳します。

「ことばのあや」とか、「人生のあや」とか言うもんな。

「ことばのあや」は、「言い回しの前後関係」とか、「ことばの流れにのった勢い」というような意味になりますね。

「人生のあや」は、「人生にはよく見るとたくさんの因果の流れがある」というような意味で使います。

そもそも「文」を「あや」って読むのは、「文」というもの自体が、「道筋」のことだからなのかな。

よく「文脈」っていいますからね、「文」というものは、そもそも「脈」なんですよね。

さいしょ「文無し」を「もんなし」って読んでて、金がないことなのかと思っていたからな。

「あや」は「ことばの筋道」ですから、「文脈が破綻している」みたいな意味ですね。

たとえば、

寒い! 服を脱ぐ! ごはんおいしい!

なんていうのは、「流れ」がめちゃくちゃだから、まさに「あやなし」だね。

「ちょっと何言ってるのかわかりません」とか、「ちょっと何が起きているのか理解不能です」といった状況は、「あやなし」と言えますね。

あとは、そういった状況に接したときの心情として、「無意味だ」つまらない」「むなしい」と思うことも、「あやなし」と言います。

ああ~。

「筋が通らないこと」や「わけがわからないこと」をするのは、意味を見出せないし、つまらないし、むなしいからね。

例文

春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やは隠るる(古今和歌集)

(訳)春の夜の闇はわけがわからない【筋が通らない】(ことをする)梅の花の色は見えないのに、香は隠れるか、いや、隠れない

すべてかかることの心苦しさを見過ぐさで、あやなき人の恨み負ふ、かへりてはかるがるしきわざなりけり。(源氏物語)

(訳)すべてあのようなこと(玉鬘の身寄りのない境遇)の気の毒さを見過ごさないで(玉鬘を引き取り)、(人から)つまらない恨みをかうのは、かえって軽率なふるまいであった。

「あやなし」という形容詞は、平安時代の用例はほぼすべて「和歌」の中にあります。

ただ、『源氏物語』は例外的に、地の文にも使われています。本来であれば和歌にしか用いないような語彙を散文のなかに使用することがあるのは、『源氏物語』の特徴のひとつです。

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