ふたがる/ふさがる【塞がる】 動詞(ラ行四段活用)

これは「方違へ」をしなければ・・・

意味

(1)つまる・いっぱいになる・ふさがる

(2)立ちふさがる・立ちはだかる

(3)(陰陽道で)悪い方角にあたる・災いがある方角にあたる・方塞がりになる

ポイント

他動詞「ふたぐ」の自動詞形が「ふたがる」です。

「ふた」は「蓋」のことであり、まさに「蓋がしまっている」ことを示します。

やがて、「た」が「さ」になり、「ふさがる」となっていきました。「消つ」が「消す」になっていったことと同種のパターンです。

他動詞「ふたぐ」だったら、「ふたをする」ってことで、自動詞「ふたがる」だったら「ふたになっている」ということなんだな。

そういうことになります。

(1)の意味では、「胸ふたがる(ふさがる)」という表現でよく使用されます。「胸がいっぱいになる」ということですね。

なお(1)(2)はほぼ現代語の「ふさがる」と同じ意味なので、それほど注意しなくても大丈夫ですが、(3)の意味は現代社会ではあまり使わないので、注意しておきましょう。

古文ではけっこう(3)の意味で見かけるよね。

古文ではよく出てきます!

「方角」を意味する語が「ふたがる」となっていたら(3)です。

陰陽道において「中神が巡行していて、行くと災いが起こるとされる方角」を「方塞がり」といいます。その名詞を用いて、「(陰陽道での)方塞がりである」と訳してもOKです。

ただ、選択肢問題などでは、「悪い方角にあたる」「行くと災いがある方角にあたる」というように、説明的に訳していることも多いです。

なお、目的地が「方塞がり」であるために、いったん別の方角に行って宿泊することを「方違へ」といいます。角度を変えて目的地に向かうのですね。

ああ~。

日本史で出てきたなあ。

例文

御胸のみ、つとふたがりて、つゆまどろまれず、明かしかねさせたまふ。(源氏物語)

(訳)御胸がただもう、ずっといっぱいになって【つまって】、少しもうとうとすることができず、夜を明かしかねていらっしゃる。

「胸ふたがる(ふさがる)」という表現はよく出てきます。

「胸がいっぱいになる/胸がつまる」と訳せばOKですが、選択肢問題などでは、「感情がおしよせる」と訳したり、「気落ちする」と訳したりすることもあります。

千住といふ所にて舟を上がれば、前途三千里の思ひ、胸にふさがりて、幻のちまたに離別の涙をそそぐ。(奥の細道)

千住という所で舟から上がると、前途が遥かに遠いという思いで、胸がいっぱいになって【つまって】、幻想のような現世に(いながらも、親しい人との)別れの涙を流す。

この例文などは、「感情がおしよせる」という意味合いですね。

馬の前に下りふさがつて、あやまちさすな。(保元物語)

(訳)馬の前に下りて立ちふさがって、まちがいをさせるな【けがをさせるな】。

「ふさがり」の「促音便」です。

今宵、方のふたがりければ、方違へになむいく。(枕草子)

(訳)今夜は、(目的地の)方が悪い方角にあたっていたので、方違へに行く【いったん別の方角に行く】。

五日は、西ふさがり、六日は道虚日、七日の日の卯の刻に、一の谷の東西の木戸口にて、源平矢合はせとぞ定めける。(平家物語)

(訳)五日は、西が方塞がりであり【西が悪い方角にあたり】、六日は道虚日【陰陽道で外出を忌みきらう日】、(そのため)、七日の卯の刻に、一の谷の東西の木戸口で、源平の矢合わせと決めた。