はばかる【憚る】 動詞(ラ行四段活用)

意味

① (障害によって)うまく進まない・停滞する

② (障害があるから)遠慮する・気兼ねする

③ (障害そのものが)はびこる・いっぱいになる

ポイント

「はば」が、「対象との間に障害(距離)がある」という意味を持っています。

「はばかる」は、その「障害」に邪魔をされて、「事態がうまく進まない」ことを意味しています。あるいは、その障害を感じ取った人が「遠慮する」「気兼ねする」という意味の動詞です。

「はばかる」のほかに「はば」からできた動詞には「阻む(はばむ)」がありますが、「はばむ」を古文でみかけることはあまりないです。

また、「はばむ」が、「他人の行為を阻止する」という意味合いであるのに対して、「はばかる」は、「自分の行為を差し控える」という意味で使用することが多いですね。

でもさ、「憎まれっ子世にはばかる」なんていうことばがあるけど、それって、「憎まれっ子が世の中に遠慮する」って意味なの?

説明を広げることができるとてもありがたい質問です。

「はばかる」は、「対象との間に障害(距離)がある」ということでしたね。

まず、障害に邪魔をされて「物理的にこれ以上進まない」ことを意味していることがあります。これは「行きはばかる」のかたちが多いです。「うまく行き進まない」などと訳します。

第二に、障害があるゆえに「やめておこうかな」とする心情や行動を意味していることがあります。「遠慮する」「気兼ねする」という訳語になります。実際にはこの使い方が多いです。

そして第三に、「障害そのもの」の運動を「はがかる」と表現することがあります。その場合、「邪魔をして広がる」という意味になります。訳としては、「はびこる」がよく使われますね。

「憎まれっ子世にはばかる」は、この意味なので、「憎まれっ子が世の中にはびこっている」というイメージになります。

ああ~。

「空き地に雑草がはばかる」といったら、「雑草がはびこっている(いっぱいになっている)」という意味なのだな。

そうです。

それを「見た人(障害に接した人)」が、物理的に進めないのであれば「停滞する」という意味になり、心理的に「やめておこうかな」となっているのであれば、「遠慮する」「気兼ねする」という意味になります。

「はばかる」という動詞に出会ったら、「①物理的に進行が妨げられている」のか、「②障害を感じた人が遠慮しようとしている」のか、「③障害そのもの運動」なのか、区別するようにしましょう。

ただ、たいていは②の意味です。

例文

(富士の高嶺の話題で・・・)白雲もい行きはばかり・・・(万葉集)

(訳)(富士の高嶺によって)白雲も停滞している【うまく行き進まない】

かつは恐れ、かつははばかりて、まかり過ぎはべるなり。(発心集)

(訳)一方では恐れ、一方では遠慮して、経過してきております。

多くの髑髏どもが、一つに固まりあひ、坪の内にはばかるほどになって、(平家物語)

(訳)たくさんのどくろどもが、一つに固まりあい、庭の中にはびこる【満ちあふれる】ほどになって、