家の作りやうは 『徒然草』 現代語訳

家の作りやうは、~

家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころ悪き住まひ、堪へがたきことなり。

家の作りようは、夏(に過ごしやすいこと)を主とするのがよい。冬はどんな所にも住むことができる。暑いころ、(作りが)悪い住まいは、堪えがたいことである。

深き水は涼しげなし。~

深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遥かに涼し。こまかなる物を見るに、遣戸は蔀の間よりも明し。天井の高きは、冬寒く、ともし火暗し。

(遣水などについて)深い水は涼しい感じがしない。浅くて流れているのが、ずっと涼しい(感じがする)。こまごましているものを見るのに、遣戸(の部屋)は蔀の部屋よりも明るい。天井が高いのは、冬寒く、灯火が暗い。

造作は、~

造作は、用なき所を造りたる、見るもおもしろく、よろづの用にも立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。

建築は、(特定の)用がない所を造ってあるのが、見るのもおもしろく、あらゆる用事に役立ってよいと、人が議論しあうのでした。