いたいたしくてそこにいたくない
意味
(1)(そばで見ていて)みっともない・見苦しい
(2)(そばで見ていて)気の毒だ・心苦しい
(3)(自分が見られて)きまりが悪い・恥ずかしい
ポイント
「傍ら」「痛し」という文字のとおりの状況を示します。
もともとは、「痛々しい状況である人」に対して、そばで見ていてはらはらしてしまう心情を示します。批判的なニュアンスであれば「みっともない・見苦しい」と訳しますが、シンプルに同情しているような場合には、「気の毒だ・心苦しい」などと訳します。
そのうち、「自分自身が痛々しい状況になっているとき」に、近くで人に見られるのが「恥ずかしい・きまりが悪い」という心情でも使用されるようになりました。
笑いすぎて片腹が痛いぞって意味じゃないんだな。
鎌倉時代以降に誤用が広まって、現代語ではそっちの意味になってしまったようですね。
例文
すべて、いとも知らぬ道の物語したる、かたはらいたく、聞きにくし。(徒然草)
(訳)何事も、それほど知らない道の話をしているのは、みっともなく、聞きぐるしい。
まだ験つくばかりの行ひにもあらねばかたはらいたけれど、(源氏物語)
(訳)まだ効験がつくほどの仏道修行でもないのできまりが悪いのだが、
簀の子はかたはらいたければ、南の廂に入れ奉る。(源氏物語)
(訳)縁側では気の毒なので【心苦しいので】、(源氏を)南の廂の間にお入れ申し上げる。