けし【異し・怪し】 形容詞(シク活用)

意味

① 異様だ・変だ

② いつもと違う・普段と異なる

➂ 普通と違ってよくない・不実だ・薄情だ

ポイント

「異し・怪し」を「けし」と訓じます。漢字のイメージのとおり、「異常だ・変だ」という意味になります。

「普通の行いとは異なる」ということから、マイナスな意味で使用されることが多いです。

「けし」の意味を問う選択肢問題で「あってはならない」というのが正解だったことがあるな。

「普通にすべきこととは異なる」という意味を、こなれた日本語にすると、「あってはならない」と訳しても問題ないですね。

あと、期末試験で「けしうはあらず」と「けしからず」の意味の違いを説明せよっていう問題が出て、沈没した思い出があるな。

「けしうはあらず」は、「けし」の「存在」では「ない」ということで、「普通と違っていない」「変ではない」という意味になります。そのため、「そう悪くはない」「不自然ではない」などと訳します。ほめ言葉です。

「けしからず」は、「普通と違うどころではない」「いつもと異なるなんてものではない」という意味合いであって、「とんでもない」とか「ひどく異様だ」などと訳します。悪口です。

うわあ。

そういうのやめてほしい。

『サザエさん』で、波平さんがカツオくんを「けしからん!」って叱るシーンがよくありますよね。

あれは、「けしからず」が現代に残ったものだと言われています。

「普通じゃないなんてもんじゃないぞ!」「とんでもないことだぞ!」といった叱り言葉ですね。

「けしからん!」をヒントに、「けしからず」は「悪いほうの意味」と覚えておこう。

例文

この女、かく書きおきたるを、けしう、心おくべきこともおぼえぬを、(伊勢物語)

(訳)この女が、このように書きおいたことを、いつもと違う(と思い)、気にかけなければならないことも覚えがないのを、

よき人のおはします有様などのいとゆかしきこそ、けしからぬ心にや。(枕草子)

(訳)高貴な人がいらっしゃる様子などがとても知りたいのは、普通と違ってよくない心なのだろうか。

この例文は「けしからず」の用法ですね。

「普通でないどころではない」というニュアンスで、「よくない意味」として使用します。

「普通と違ってよくない」とか、「普通と違って薄情だ」といったように、ネガティブな意味をくっつけて訳すこともあります。