こころうし【心憂し】 形容詞(ク活用)

いやな気持ち

意味

(1)つらい・情けない

(2)嫌だ・不快だ

ポイント

し」に「心」がついたものが「心憂し」です。

「心」がない、ただの「憂し」も、「つらい」って意味だよね?

「憂し」は、ク活用形容詞なので、もともとは状態を形容することばだと考えられています。

思いどおりに事が進まないことや、終わりにできないことなどに対して、困惑して疲弊している「状態」を客観的に「憂し」と言いました。

それに「心」がついた「心憂し」は、その際の心の動きにフォーカスしているぶんだけ、さながら心情語のように用いられます。

ただ、実際には、「憂し」も心情語のように使用されるので、意味の違いはほとんどないと考えていいと思います。

例文

世の中になほいと心うきものは人に憎まれむことこそあるべけれ。(枕草子)

(訳)世の中で、やはりたいそうつらいものは、人に憎まれるようなことであるだろう。

罪得ることぞと常に聞こゆるを、こころうく。(源氏物語)

(訳)(生き物を捕まえることは)罪を得ることだといつも申し上げているのに、(おやめにならないのは)情けなく(思われる)。