まめなり【実なり・忠実なり】 形容動詞(ナリ活用)

誠意がある

意味

(1)まじめだ・誠実だ *そもそもの性質について

(2)忠実だ・熱心だ・勤勉だ *態度について

(3)実用的だ・現実的だ

(4)健康だ・丈夫だ

ポイント

真実まめ」「真目まめ」ということばから来ている説があります。

もともとの性質が「まじめ」であるというのが根本的な意味ですが、表面的な態度について使用することもあります。

「物品」について用いている場合には、「実用的」と訳しておきましょう。

いまでも「まめな人間」とか言うもんな。

まじめで熱心な人間という感じですね。

なんか、「まめまめし」とか「まめやかなり」とかもあるよね。

ほとんど同じ意味ですが、

「まめまめし」は、「まめ」を重ねていることからも、「いかにもまじめだ」というように、ちょっと強調しているイメージです。

「まめやかなり」は、「やか」が婉曲的なニュアンスを持っていますので、使用できる範囲がやや広いです。「なんとなく実直そうな感じ」というケースでも使用しますね。実際、『源氏物語』では、「まめなり」よりも、「まめやかなり」のほうが多く用いられています。

例文

いとまめに実用にて、あだなる心なかりけり。(伊勢物語)

(訳)たいそうまじめで実直で、浮ついた心はなかった。

この例文にある「まめなり」あだなり」は、ちょうど対義語のような関係になっています。

もし、念仏もの憂く、読経まめならぬときは、自ら休み、自ら怠る。(方丈記)

(訳)もし、念仏(をとなえるの)がおっくうで、お経を読むのも熱心でないときは、自分から休み、自分から怠ける。

少将起きて、小舎人童を走らせて、すなはち、車にてまめなる物、さまざまに持て来たり。(大和物語)

(訳)少将は起きて、小舎人童を走らせて、すぐに、牛車で実用的な【生活に必要な】物を、いろいろと持ってきた。