長い息~
意味
(1)ため息をつく・嘆息する
(2)悲嘆する・悲しむ・悲しんで泣く
(3)嘆願する・願い祈る・請い願う
ポイント
「長息(ながいき)」が「なげき」になり、動詞化したものと言われます。
そのことから、第一義としては「ため息をつく」という意味になります。
ため息をつくような心理状態として、「悲しむ」という意味でよく使いますね。
(3)の「嘆願する」っていうのは、「長い息を吐きながらお願いする」っていうことなのかな。
心から強い気持ちでお願いする場合には、あっさり述べるのではなく、丁寧にゆっくり述べるでしょうから、「長息 ≒ 心を込めたお願い」という関係が成り立つでしょうね。
お願いの相手が神仏などであれば、なおさら「呪文っぽい」言い方で詠唱するように言いますよね。
ああ~。
たしかに、初詣でお願いごとをするときなんかは、早口でテキパキと言うわけじゃなくて、おごそかにゆっくりと唱える気がするね。
例文
大野山 霧立ち渡る わが嘆く おきその風に 霧立ち渡る (万葉集)
(訳)大野山に霧が立ち込めている。私がため息をつく。そのため息の風によって、霧が立ち込める。
このことをなげくに、ひげも白く、腰もかがまり、目もただれにけり。(竹取物語)
(訳)このこと【かぐや姫が月に帰ること】を悲しんで泣くので、ひげも白くなり、腰も曲がり、目もただれてしまった。
世の中に さらぬ別れの なくもがな 千代もとなげく 人の子のため (古今和歌集)
(訳)世の中に、避けられない別れ【死別】がないといいなあ。(親が)千年も(生きるように)と願い祈る人の子のために。