せんなし【詮無し】 形容詞(シク活用)

不毛

意味

(1)(~しても)無駄である

(2)仕方がない

(3)効果がない・無益だ

ポイント

「詮(せん)」は、「考えつくしてたどりつくこと(たどりついたもの)」を意味します。

そのため「詮」だけだと、「結局」と訳したりしますね。

「詮無し」は、

考えつくしても結果が出ないから ⇒ 「無駄だ」
考えつくすための ⇒ 「方法がない・仕方がない」
考えつくして生み出されるはずの ⇒ 「効果がない・益がない」

という理路で、いくつかの訳し方をします。

ああ~。

よく「詮議せんぎ」とかっていうけど、あれは「考えつくして議論する」ということなんだな。

そうです!

すこし古い言い方だと、「詮ずるところ~」などと言うこともあります。

「考えつくしたところ~」という意味ですね。

すると、「詮なし」は、「考えてもしょうがねえべ」「考えても意味ねえべ」みたいな感じなんだな。

そうですね。

試験での注意点としては、「せんかたなし」という似た意味になる形容詞があるのですが、これは、

サ変動詞「す」助動詞「む」+名詞「方」+形容詞「無し」=「せむかたなし」

なので、「しようとする方法がない」⇒「仕方がない」という訳になります。

そういうわけで、「せんかたなし」の「せん」は、「詮」ではなくて、「しよう!」という意味なので、区別しておきましょう。

例文

ひとり、「さもなかりしものを」と言はんもせんなくて、(徒然草)

(訳)(みながおもしろがっている話を)自分ひとりが「それほどでもなかったが」と言ってもむだで

世間の虚言をねんごろに信じたるもをこがましく、「よもあらじ」など言ふも詮なければ、

(訳)世俗のうそを熱心に信じるのもばからしく、(逆に)「まさか(そんなことは)あるまい」など言うのも仕方がないので