意味
① 美しく色づく
② 明るく照り映える・美しさに満ちている
③ 香る・よい匂いがする
ポイント
「に」は「丹」で、「ほ」は「秀・穂」だと言われています。
「丹」は「赤土」のことですが、「朱色」という色自体も意味します。朱の塗り物を「丹塗り」などと言いますね。
それが、ひときわ優れて現れていることが「ほ」であり、「ふ」がつくことで動詞化しました。
このように、もともとは「赤く美しい色が映える」ということで、視覚的な美しさを意味する語です。
現代語だと、③の意味だし、あんまりよくない匂いにも使うけどな。
古文で登場する場合は、多くの場合①か②です。
嗅覚面の「よいにおい」を表現する場合、古文では「かをる」を使います。
「にほひ」が設問で問われているときは、①か②の可能性が高いですね。③だと現代語と変わらないわけですから。
たしかに。
一方、「うつろふ」という動詞は、「色あせる」という意味です。
「にほふ」が「美しく色づく」で、「うつろふ」が「色あせる」ということで、反対の意味として覚えておくといいですね。
例文
八重にほふ軒端の桜うつろひぬ (新古今和歌集)
(訳)八重に美しく色づく軒近くの桜が色あせた
紫のにほへる妹を憎くあらば (万葉集)
(訳)紫草のように美しさに満ちているあなたを嫌だと思うならば