あまねし【普し・遍し】 形容詞(ク活用)

普遍

意味

(1)残すところがない

(2)広くいきわたっている

ポイント

「数が多い」という意味で使用された上代後「まねし」に、接頭語「あ」がついた語ではないかと考えられています。

「あまりにも数が多い」ということから、「広く行きわたって、残すところがない」という意味で使用されます。

これ、今でも「夕日が街全体をあまねく照らして」とか、普通に使用されてるよね。

そうですね。

同じ意味で通用しますね。

「まんべんなく行きわたる」っていうことだから、まさに「普遍」ってことなんだな。

これ漢字も面白いんですよ。

「普」は、おひさまの光がブワアーってなっている字です。

ああ~。

「太陽の光が隅々まで届いている」っていうことなんだな。

「遍」は、「扁」「戸にかける木札」を意味することから、「平たいもの(状態)」を意味するようになりました。「しんにょう」が「行く」ことを意味するので、「平たくまんべんなく行きわたる」というイメージです。

だから、八十八か所もの寺社をまんべんなく巡ることを「お遍路さん」って言うんだな。

そういうことですね。

例文

空には灰を吹き立てたれば、火の光に映じて、あまねくくれなゐなる中に、風に堪へず、吹き切られたる炎、飛が如くして、一、二町を越えつつ移りゆく。

(訳)空には灰を吹き上げているので、火の光に映って、(空一面)残すところなく真紅に染まる中に、風にあらがえず吹きちぎられた炎が、飛ぶようにして、一、二町越えながら移ってゆく。

なべての世にはあまねくめでたき御心なれど、この御あたりは、なかなか情けなき節も、うち交ぜたまふを、(源氏物語)

(訳)世間一般の世の中には(配慮が)広く行きわたるすばらしい御心であるが、この宮あたりに対しては、むしろ冷淡な態度も、時折おとりになることを、