これまで「文の成分」について、「主語・述語」「修飾語(ー被修飾語)」などの話をしてきました。
今日は「接続語」と「独立語」について話します。
やってやるぜ。
どんとこい。
接続語
「接続語」というのは、後ろの部分と「接続関係」を持つ文節です。
接続語による「接続関係」は、「修飾ー被修飾」の関係ではなく、「順接」「逆接」「因果」といった関係になります。
ひとまず現代語でいいますと、たとえば、
四時間目が終わった。そして、昼休みになった。
接続語
旅に出たい。だが、やめた。
接続語
お腹がすいた。だから、食べた。
接続語
といった文節は、「前」と「後ろ」がどのようなつながりであるのかを示しています。
「そして」であれば「付け加え」のつながり
「だが」であれば「逆」のつながり
「だから」であれば「原因」と「結果」のつながり
ということだな。
そのとおりです。「添加」「逆接」「順接」などといいますね。
古文ではどういうものがありますか?
ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
接続語
ああ~。
ザ・接続語だね。
前の単語とくっついているときもあるよね。
文の成分としての「○○語」というのは「文節単位」で考えるので、前の単語とくっついているのであれば、前の単語を含めて「接続語」です。
たれたれかと問へば、それそれと言ふ。
接続語
物忌なるを、門強く鎖させよ。
接続語
ということですね。
京には見えぬ鳥なれば、皆人見知らず。
接 続 語
なんかもそうなるかな。
そうですね。
ただ、「京には見えぬ鳥なれば」のほうは、「文節3つぶん」のまとまりなので、「連文節」ですね。連文節の場合は、一般的には「接続部」といいます。
文の成分である「主語」「述語」「修飾語」「接続語」「独立語」は、
複数の文節のまとまり(連文節)であれば、
主部・述部・修飾部・接続部・独立部
と呼ぶとかいう決まりがあったな。
「絶対のルール」ではありませんが、そのように説明する文法書が多いですね。
「接続語」の項目を立てない文法書もある
補足ですが、文法書によっては、「接続語」の項目をたてないものもあります。
その場合、いま見てきた接続語のうち、前後のつながりが比較的薄いものは「独立語」に含め、後ろにしっかりと関わっていくものは「連用修飾語」に含めることになります。
いろいろな考え方があるんだな。
口語文法(現代文法)だと、「接続語」はたいてい存在するのですが、古文の場合は、文の成分に「接続語」を取り扱わない立場もけっこう見られますね。
というのも、古文の場合、そもそも「一文という単位」という考え方が希薄であって、ひたすら文字がずーっと続いていくんですよ。
今日、私たちが勉強している古文は、後世の人々によって、勝手に句読点を打っているものがたくさんあるのですね。
さて、その場合、「に」「を」「が」「ば」といった「接続助詞」は、「接続」というよりは、むしろ「転換」のための目印ともいえるわけです。
当時の人々にとっては、「後ろにつないでいく目印」というよりは、「いったんここまで」というような感覚で使用されているのです。
そう考えると、「接続語」という項目を立てない考え方も、合理的であると言えますね。
独立語
このように「接続語」は、「~だが」とか「~ので」といったように、後ろの部分と何らかの関係を持ちます。
一方、そういった「文法上のかかわり」を持たずに、単独で存在するものを「独立語」といいます。
独立語は会話文や歌詞にはよく登場しますね。
現代語でいいうので、ちょっと何か歌ってみてください。
ねえ、どうして~
ねえ
は独立語です。
ファイト!
たたかうきみのうたを~
ファイト!
は独立語です。
yeh yeh yeh yeh yeh wow wow wow wow
yeh yeh yeh yeh yeh wow wow wow wow
yeh yeh yeh yeh yeh survival dAnce !
survival dAnce ! trial dAnce !
イェ とか ウォウ とかは独立語ですね。
英語だと日本語と文法規則が異なるので、日本語に戻してください。
あーあー 日本のどこかに~
あーあー
は独立語ですね。
飾りじゃないのよ涙は
ハッハー
ハッハー
は独立語ですね。
感動・応答・呼びかけ・提示・あいさつ・かけごえ
明確に区別するほどのものではありませんが、「感動」「応答」「呼びかけ」「提示」「あいさつ」「かけごえ」などが、前後との文法上のつながりがない状態で使用されている場合、「独立語」になります。古文でいうと、
いざ、かひもちひせむ。(さあ、ぼたもちをつくろう。)
あな、うれし。(ああ、うれしい。)
あつはれ、よからう敵がな。(ああ、よい敵がほしい。)
いで、君も書い給へ。(さあ、あなたもお書きになれ。)
といったものですね。
このへんはぜんぶ「一単語」だね。
「独立語」は「単語ひとつ」になることが多いですね。
「単語」にはそれぞれ品詞名があります。
「独立語」の役割を果たす一単語は、品詞名でいうと「感動詞」といいます。
くわしくは「感動詞」の項目をご覧ください。
「独立語」が一単語でないことはあるの?
名称で呼びかけるときなどは、けっこうありますよ。
少納言よ、香炉峰の雪いかならん。
独立語
であれば、「少納言よ」で一文節ですが、単語で言うと、「名詞+間投助詞」の2つで構成されています。
いかに佐々木殿、高名せうどて、不覚し給ふな。
独 立 部
というように、連文節で呼びかけることもあります。
文の成分を考える際、連文節(文節2つ以上のまとまり)は、「〇〇部」と呼ぶことが通例ですので、この場合は「独立部」といいます。