つくろふ【繕ふ】 動詞(ハ行四段活用)

修繕!

意味

(1)悪いところを直す・修理する・修繕する

(2)(身なりなどを)きちんとする・整える・飾る・化粧する・おしゃれする

(3)(表面を)取りつくろう・言いつくろう

(4)手当てする・治療する

ポイント

動詞「つくる」に、反復・継続を意味する接尾語「ふ」がついた「つくらふ」が、やがて「つくろふ」となりました。

すでに生成されているものに再び手を加えるということであり、状況的には「(悪いところを)直す・修理する」「(雑なところを)きちんとする・整える」という意味で使われやすいです。

「繕ふ」という漢字を忘れなければ、「修繕」という意味で思い出しやすいね。

そうですね。

古文の試験としては、現代語にはない(2)の意味で問われやすいので、「きちんとする・整える」の意味をおさえておきましょう。

また、取り急ぎ表面上だけ整えることもあるので、(3)の「取りつくろう」という意味でも使われるようになりました。

「人体」に対して「つくろふ」と言う場合、(4)の意味で訳すこともありますが、用例はそれほど多くないです。

「ひきつくろふ」っていうかたちでけっこう目にするよね。

「ひきつくろふ」はよく出てきますね。

「ひき」は接頭語なので訳さなくてよいのですが、「さっと引き寄せて」とか「(たくさんある課題の中からひとまず)引きぬいて」というニュアンスがありますので、「ひきつくろうふ」の場合は、「ひとまずこれだけはなんとかしよう」という文脈の場合が多いです。

その場合は、訳も「(さっと)体裁をとりつくろう」というものになりがちですね。

あるいは、その「セレクトしたものに集中する」ことを意味の中心として、「心を用いる・注意を払う」などと訳すこともあります。

例文

広くおもしろき宮たまはりたまへるをつくろひて、(源氏物語)

(訳)広く趣きある屋敷をいただきなさっているのを修理して、

世にありとある人は、みなすがたかたち心ことにつくろひ、(枕草子)

(訳)世の中のあらゆる人は、みな服装も顔も特に気をつかって整えおしゃれし】、

鏡取りて、顔などつくろひて、(徒然草)

(訳)鏡を手に取って、顔などを化粧して、

うはべばかりつくろひたる御装ひはあいなくなむ。(源氏物語)

(訳)表面ばかりをとりつくろったお召し物はつまらない。

よろづに繕はせたまひしかど、えやませたまはで、(大鏡)

(訳)いろいろ治療しなさったが、回復させなさることもできず、