ひなぶ【鄙ぶ】 動詞(バ行上二段活用)

田舎風

意味

(1)田舎じみている・田舎風になる・田舎めく

(2)野暮ったい

ポイント

「宮廷風」である「みやぶ」「みやび」の対義的な語です。

類義語に「ゐなか(田舎)」がありますね。「ゐな(wina)」と「ひな(fina)」でそもそも音がかなり近く、ほぼ同じことを意味している語だと考えられます。

都会的でハイセンスな「みや」と反対になるのが「ゐな」とか「ひな」なんだね。

『万葉集』では、「九州」「近江」「越中」とかが「ひな」とされていますね。

敵の襲来を受けやすい地方の警護にあたる人を「ひなもり」と言ったりもします。

いずれにしても「都から離れている土地」を示したようです。

「ひな」の地が歌に詠まれるときは「あまざかる」という枕詞が使われやすかったのですが、これも「天離る」ということなので、「空遠く離れている」というイメージですね。

現代語でも「ひなびた温泉街」なんていうけど、それは「都会から遠く離れている」ということなんだね。

どちらかというと「距離」というよりも「雰囲気」とか「センス」とかが「都会的」であれば「ひなびた」と言いますね。

これは古文でも同じで、「ひなぶ」という場合、「距離」よりも「都会的なセンスや雰囲気」を言っていることが多いですね。

下の例文にもあるとおり、「言葉遣い」や「服装」などにも使います。

ああ~。

「言葉遣い」や「服装」にも使うってことは、それこそ距離とは関係ないね。

都会的なセンスとは対極にある「野暮ったさ」みたいな感じですね。

例文

さもあるまじき老いたる人、男などの、わざとつくろひひなびたるはにくし。(枕草子)

(訳)そうであるべきでない【ふさわしくない言葉を使うはずがない】老人や、男などが、わざわざ(言葉を)つくろって【表現を加工して】田舎めくのはしゃくにさわる。

衣冠布衣なるべきは多く直垂を着たり。都の手振りたちまちに改まりて、ただひなびたる武士に異ならず。(方丈記)

(訳)衣冠や狩衣を着用すべき公家が、直垂を着ている。都の習俗がまたたくまに変わって、ただもう田舎じみている武士と変わらない。