まずはいつもの「敬語の種類」をあげておきます。
〈尊敬語〉 主体(行為者)に敬意を示す 「おはす」「たまふ」など
〈謙譲語〉 客体(行為の受け手)に敬意を示す 「申す」「参る」など
〈丁寧語〉 聞き手・読み手に敬意を示す 「侍り」「候ふ」など
「丁寧語」は、「聞き手・読み手」に敬意を示す敬語です。
「尊敬語」や「謙譲語」が原則的に「素材敬語(話題にしている登場人物に対する敬意を示すもの)」であるのに対し、「丁寧語」は「対者敬語(話し相手や手紙の届け先への敬意を示すもの)」です。
「丁寧語」については、基本的には「侍り(はべり)」と「候ふ(さぶらふ・さうらふ)」の二語だと考えて大丈夫です。
「はべり」と「候ふ」は、本動詞の場合「おそばにおひかえする」「お仕えする」といった「謙譲語」で使用されることもあれば、「あります・おります・ございます」という「丁寧語」として使用されることもあります。
しかし、「はべり」も「候ふ」も「補助動詞」で用いられる場合には、「丁寧語」と考えてOKです。「~です・~ます・~ございます」などと訳しましょう。
「はべり」と「候ふ」しかないなら、覚えるのもらくちんだね。
注意点としては、尊敬語「たまふ」を「下二段活用」で用いる場合、「丁寧語っぽい」使い方になります。
また、「謙譲語」のなかにも、状況次第で「丁寧語っぽい」使用法をする語がいくつかあります。「申す」「まゐる」「まかる」「つかうまつる」などです。
これらは「謙譲語Ⅱ(丁重語)」と呼ばれるのですが、構造が「丁寧語」に似ているので、「丁寧語」に分類する立場もあります。
ふむふむ。
それらを「丁寧語」の仲間に入れるのであれば、「丁寧語」は、
はべり
候ふ
以外にも、
たまふ (謙譲語Ⅱの用法) *下二段活用
申す (謙譲語Ⅱの用法)
まゐる (謙譲語Ⅱの用法)
まかる (謙譲語Ⅱの用法)
つかうまつる (謙譲語Ⅱの用法)
なども含むことになります。
「謙譲語Ⅱ(丁重語)」は「丁寧語っぽい」訳をすることになるから、「丁寧語」に分類することもあるというということなんだね。
そうですね。
ただ、「謙譲語Ⅱ」の用法は、定期試験で「種類」を問われたら、「謙譲語」と答えておいたほうが無難です。