つゆ【露】 名詞/副詞

水滴(のようにわずかである)

意味

名詞

(1)・水滴

(2)わずかなこと・はかないこと

(3)涙のたとえ

副詞

(1)わずかに・ほんの少し・ちょっと *仮定表現・命令表現を伴いやすい

(2)(打消表現を伴って)少しも・まったく(~ない)

ポイント

朝、草や葉っぱの上に見られる「露」のことですね。

小さくて、すぐに消えていまいますので、「わずかなこと」「もろいこと」「はかないこと」などのたとえに使用されます。

露の命(はかない命)
露の間(少しの間)

なんて言うもんね。

あとは、「涙」の意味でもよく使うよね。

そうですね。

試験では、「副詞」の「つゆ」がよく問われます。特に、打消表現を伴う「つゆ」が頻出です。

少しも~ない
ほんのわずかも~ない

というように、「つゆ」ほどもないことを表現しているので、結果的に「まったく~ない」「全然~ない」というように、「強い否定表現」として使用されることがあります。

例文

萩などのいと重げなるに、の落つるに枝のうち動きて、(枕草子)

(訳)(雨に濡れた)萩などがたいそう重そうであるが、露(水滴)が落ちるたびに枝が動いて、

いとどしく 虫の音しげき 浅茅生に おきそふる 雲の上人(源氏物語)

(訳)ただでさえ虫の音がさかんである、ちがやが生えた荒れ果てた住まいに、いっそう涙の露を置きそえる、大宮人(宮中からの使いの方)よ。

浅茅生は、「茅が生えているところ」という意味ですが、慣用的に、「茅が生い茂るほど荒れ果てた住まい」を示すことが多いです。

ここでの「露」は、「涙」のたとえになっていますね。

つゆあしうもせば、沈みやせむ。(枕草子)

(訳)ほんの少し誤ったことをすれば、(船が)沈むのではなかろうか。

副詞の用法ですね。

これは、「仮定」の文脈を伴う用法です。

胸つとふたがりて、つゆまどろまれ、(源氏物語)

(訳)胸がそのままふさがって、まったく浅く眠ることもでき

副詞の用法です。

「打消表現」を伴って、「わずかほどもない」という文意になっています。

試験に関していえば、この「副詞+打消表現」を問うものが最も多いですね。