としごろ【年頃・年比】 名詞・副詞

意味

(1)長年の間・何年もの間

(2)ここ数年・数年来

(3)おおよその年齢・年格好

ポイント

「ころ」が、「幅のある期間」を意味しますので、「年ごろ」というと、「複数年」を表しています。

文脈的には「現在に至るまで」「長い年月」を意味します。「現在」につながっているほうに力点があれば「ここ数年」と訳し、「長さ」のほうに力点があれば「長年の間」と訳します。

ということは、「月ごろ」とか「日ごろ」とかも、複数の月や日を表しているってことだな。

そのとおりです。

どれも、「現在に至るまでの期間」を意味することが多いですね。

例文

かばかり年ごろになりぬる得意の、疎くてやむはなし。(枕草子)

(訳)これほど長年の間(のつきあい)になった親しい人が、疎遠で終わることはない。

年ごろよく比べつる人々なむ、別れ難く思ひて、日しきりに、とかくしつつののしるうちに、夜更けぬ。(土佐日記)

ここ数年よく付き合っていた人々が、別れがたいと思って、一日中、あれもこれもしながら大騒ぎするうちに、夜が更けてしまった。

年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。(徒然草)

(訳)長年思っていた【願っていた】ことを、果たしました。

「年ごろ」は名詞なのですが、2つめと3つめの例文などは、「年ごろ」が直接動詞を修飾していますので、「副詞」と考えることもできます。