なにぬねの 2024.03.02 目次 なにぬねの な なかなかなり【中中なり】 形容動詞(ナリ活用)「中」は、「中途」「中間」を表します。それを2つ重ねて強調することで、「はじめでも終わりでもない」という意味合いを持ちます。「なかなかなり」は、その「どちらでもない状態」をマイナスの意味でとらえて、「中途半端だ」「どっちつかずだ」と訳すことになります。②の意味のように、そこからさらにふみこんで、「いっそしないほうがましだ」という心情を表す語としても使われます。 ながむ【眺む・詠む】 動詞(マ行下二段活用)「長目」あるいは「長見る」といったことばが、動詞化したのではないかと言われています。文字通り「長時間ものを見る」ということは、シャカリキに動いているわけではありませんから、「もの思いにふけりながらぼんやりしている」という意味で用いられるようになっていきました。 なげく【嘆く】 動詞(カ行四段活用)「長息(ながいき)」が「なげき」になり、動詞化したものと言われます。そのことから、第一義としては「ため息をつく」という意味になります。ため息をつくような心理状態として、「悲しむ」という意味でよく使いますね。 なさけ【情け】 名詞漢語の「情」を「なさけ」と訓じていますので、「情」という漢字のイメージでそのままつかんでおくといいです。「情」のパーツは「心」+「生」+「丹」です。「心が生き生きと色づく」ということですね。基本的にはプラス面の「心のはたらき」であり、「人と人との情」であれば「人情・思いやり」、「男女の情」であれば「愛情・恋情」、「自然に親しむ情」であれば「風流心」などと訳します。 な ~ そ 副詞 ~ 終助詞副詞「な」は、終助詞「そ」と呼応することで、「軽い禁止」の意味になります。命令的なニュアンスではなく、「やわらかいお願い」としての禁止です。 なつかし【懐かし】 形容詞(シク活用)動詞「なつく」が形容詞化したものです。基本的には目の前にあるものに対して「近くにいたい」という心情を表す言葉です。そのことから、「魅力的だ」「かわいい」といった意味でも使われるようになりました。かつてあったことを懐かしむ③の意味は、中世に入ってからの用法であり、現代語と同じなので、古文の問題の場合は、①②の訳し方になりますね。 なでふ 連体詞・副詞「なにといふ」が圧縮されて「なにてふ」→「なんでふ」と言うようになりました。「なでふ」と書きますが、「ん」表記が登場してからは「なんでふ」とも書きます。もともとの「何といふ」という表現をおさえておけば、「なにという」「どういう」という訳し方に結び付くと思います。 など/などか/などかは 副詞「何+と」が「なんど」になり、「など」になったと言われます。「どうして」「なぜ」と訳し、主に「疑問」か「反語」の訳し方をします。「などか」「などかは」「などて」「などてか」「なぞ」「なんぞ」などは、ほぼ同義の語だと考えましょう。 なのめなり【斜めなり】 形容動詞(ナリ活用)もともとは、山や丘などがなだらかに傾斜する様子を表した語です。山や丘は、「斜め」であることが普通のことですよね。この「水平でも垂直でもない状態」から、「ありふれている」「平凡だ」などという意味で使われました。また、水平でも垂直でもない状態を「中途半端」とみなして、「いいかげんだ」「不十分だ」と訳すこともあります。そのため、「なのめならず」というように、「なのめ」を打ち消して使用する場合、プラスの意味になります。「格別だ」「並々でない」などと訳しますね。 なべて【並べて】 副詞「並ぶ」に「て」がついて「並べて」になりました。たくさんのものが同じ状態で並んでいる様子を表しています。そのことから、「一般に」「一面に」「並一通りに」といった意味になります。 なほ【猶・尚】 副詞前から続いているものが、そのまま続いている様子を意味する副詞です。根本的には「依然として」という意味になります。文脈的には、他のいろいろな状況を念頭においたうえで、「もともと中心視されていたもの」を変わらずに中心視するような場面で使われやすいです。その場合、「やはり」という訳語を使用することが多いですね。 なほざりなり【等閑なり】 形容動詞(ナリ活用)「直(なほ)」「去り(さり)」の複合語といわれています。すると、「何もせず離れる」ことだといえるので、「いいかげん」という意味になります。「注意をはらわない」という意味の漢語である「等閑(とうかん)」を訓じる際には、「なほざり」と読みました。「猶なほあり」が音変化したという説もありますが、その場合でも「依然としてそのままある」ということになりますから、「いいかげん」という意味につながっていきますね。 なむ(なも) 終助詞上代では、「な」という助詞が「しよう」「したい」という意味を持っており、ここに助詞「も」がついたものが「なも」だといわれています。「も」は、「不確実・未確定」なことを示すものとされ、すると「なも」は、「不確実な願望(希望)」ということになります。これがいずれ「なむ」になりました。 なめし 形容詞(ク活用)語源としては、「滑(なめ)」と「生(なま)」の2つの説があります。「滑」は、使い込んで馴れた皮がつるつるしているような様子ですね。「馴れ馴れしい」ということから、「無礼だ」「無作法だ」という意味になります。「生」は、生々しい中身ですから、「礼儀」という作法で包んでいないことになりますね。そのことから「無礼だ」「無作法だ」という意味になります。 なり 助動詞(断定)「体言+に+あり」がつまって、「体言+なり」となっていきました。「あり」がベースなので、活用は「ラ変型」になります。「体言」につく助動詞ですが、直前の語が活用語である場合には「連体形」につきます。 なり 助動詞(伝聞・推定)「音(ね)+あり」がつまったものです。活用語の「終止形」について、「~という音がある」という意味をつけるようなイメージですね。そのため、何か実際に音が聞こえている場面であれば、「~の音(声)がする」「~が聞こえる」などと訳します。聞こえてきた音を「根拠」にして、(音がするということは……)「~ようだ」と訳すのが「推定」の用法です。「音」が「人々のうわさ・評判」などを意味していれば、「伝聞」の用法です。「~という」「~そうだ」などと訳します。 なんぞ/なぞ【何ぞ】 連語・副詞もともとは、「何+ぞ(何だ)」という連語です。そのうち、「~はなんぞ(~は何だ?)」という使い方が、「なんぞ~は(何だ~は?)」と倒置されるようになっていき、あたかも疑問詞のように使われるようになったようです。それが「副詞」としての用法です。副詞の場合、「どうして」と訳します。「疑問」か「反語」かは、文脈次第ですね。 に にくし【憎し】 形容詞(ク活用)「憎」という字を使うのですが、現代語と比べて、「憎悪」のような気持ちはほとんどありません。軽い感じで、「なんだかちょっと気に入らないねえ…」というイメージです。そういった事物や現象に対する「心情」をあらわす場合は①の訳し方で、事物や現象そのものを形容する場合は②の訳し方をします。 になし【二無し】 形容詞(ク活用)「になき」「になく」「になし」など、ひらがなで書かれるとわかりにくいのですが、「二無」という漢字をそのまま訳し、「二つとない」という意味で解します。「似無」の字を用いることもありますが、意味は同じで、「似たものがない」ということです。どちらの場合でも、「同等のものがないほど最上である」という超プラスの意味になります。 にほふ【匂ふ】 動詞(ハ行四段活用)「に」は「丹」で、「ほ」は「秀・穂」だと言われています。「丹」は「赤土」のことですが、「朱色」という色自体も意味します。朱の塗り物を「丹塗り」などと言いますね。それが、ひときわ優れて現れていることが「ほ」であり、「ふ」がつくことで動詞化しました。このように、もともとは「赤く美しい色が映える」ということで、視覚的な美しさを意味する語です。 ぬ ぬ 助動詞たしかに発生 意味 (1)【完了】 ~てしまう・~た (2)【確述・強意】 きっ... ね ねぶ 動詞(バ行上二段活用)「老ゆ」とほぼ同じ意味ですが、「おゆ」のほうが、「高年齢」を指すことが多いです。一方、「ねぶ」は、子どもから青年になるくらいでも使用します。また、実際の年齢よりも「大人びる」という意味で使うことも多いです。つまり、「老ゆ」が「衰える」という意味を含みやすいことに対して、「ねぶ」は、シンプルに「年を重ねる」という意味で用いられています。 ねんごろなり【懇ろなり】 形容動詞(ナリ活用)「根もころ」が音変化した語で、「ねむごろ」とも言います。「根」と「根」がコロコロからまりあっている様子が、「心を込めていること」とか「一生懸命なこと」を連想させたのだと思われます。 ねんず【念ず】 動詞(サ行変格活用)漢語の「念」に、サ行変格活用「す」がついて一語化した動詞です。「念」には、もともと神仏にまつわる気持ちが根底にあり、「念願」「念仏」など、現在でも使用される言葉です。そういった「念」を意識的・積極的に持つことが「念ず」です。そのことから「念ず」は、「神仏に対しての気持ちを強く持つ」という意味合いになります。 の のたまふ【宣ふ】 動詞(ハ行四段活用) / のたまはす【宣はす】 動詞(ハ行下二段活用)呪力のあることばを口にするという動詞「のる(告る・宣る)」に「給ふ」がついて、「のりたまふ」となったものが、やがて「のたまふ」になったと考えられています。「呪力のあることば」は、「神的な存在」や「高貴な存在」が発するわけですから、「のたまふ」は「尊敬語」になります。訳は「おっしゃる」にしておけば大丈夫です。 ののしる 動詞(ラ行四段活用)現代語だと「悪口を言う」という意味で使用しますが、古語にその意味はありません。「のの」が「大きな声を出す」ということです。「しる」はもともと「思うままにする」という意味合いがあるとされています。 のる【告る・宣る】 動詞(ラ行四段活用) 主に上代につかわれたことばでです。「言う」と訳して問題ありませんが、「普通のことば」ではなく、「神聖なものにかかわる呪力をもった発語」に用いられました。もともとは神が大切なことばを表明する意味ですが、逆に神に対して大切なことを申し上げる意味でも用いられました。